もう一つの10月22日。
ホームページにかつて掲載していた一文を再掲する。 本にまつわることばかり綴ったエッセイ「文庫草誌」より: 古書展に久し振りに行った。「月の光」「真夏の星」と天体タイトルの本が星好きの目につく。前者は明治31年発行の月を巡ってのアンソロジー。月の科学から歴史・民俗・文学までを扱った小冊子。後者は千家元麿の詩集であった。なあんだと思いつつ、巻末ページを見て「あれ?」。細いブルーブラック・インクで「やまむらぼてう」と丁寧に署名してある。1924.10.22 の日付とともに。詩集の発行日は同年の9月20日。暮鳥が没したのが、12月8日。するとこの本は、死の一ヶ月前に購入して病床で繙いていた遺品ということになる。ちょうど『雲』の校了にかかっていた頃。 そんなものが今頃こんなところに出回るか、遺族が処分するか、結核だったから当時ではあり得るかなど思いはぐるぐる巡って、さてどうするか。この本の持ち主も貧窮していたけれど、巡り会ったこちらもすこぶる懐は寒い。哀しいね、縁だねと、千家も含めての一本の糸を、一日迷った後手繰り寄せた。 ※ そうは書いても、いまでも暮鳥の蔵書だった、というのは半信半疑である。 あいにく暮鳥の筆跡にも詳しくないので判別できない。 もしや、と思ってネット検索すると校正原稿の自筆が一つヒットした。 それと照合する限り、「ま」「て」の二字が同じ筆跡に見える。 サインの佇まいのようなもので本人の字だと直感したにすぎなくて、 それよりも暮鳥の蔵書が手元に巡ってきたことの方が信じ難いことなのだ。 巻末には蔵書印と思しき印もある。 哀しいかな、これが判読できない。 元麿か暮鳥の雅印か、後の所蔵者の遊印か。 どなたかご教示願えたらありがたい。
by r_bunko
| 2013-10-23 00:05
| 本・電子本
|
最新の記事
カテゴリ
全体アート 音楽 本・電子本 獏・夢 自然 天文 野鳥 ふうら散歩 北条石仏 播磨 HP・PC・WWW さまざま タグ
植物(春)(73)
野鳥(春)(63) ジャズ(62) スズメ(46) 人物(38) 野鳥(冬)(37) 俳句(36) 月(36) ふうら(35) 曲(31) 植物(夏)(31) 虫(31) 植物(秋)(29) 電子本(28) 野鳥(秋)(27) 植物(冬)(25) 野鳥(夏)(24) 詩(23) 作品(21) 空(19) iPhone(17) ビリー・ホリデイ(15) 獏(14) 本(14) 文房具(13) きのこ(5) iTunes(5) 手作り本(3) iPad mini(2) iPad(1) 以前の記事
2014年 07月2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 more... リンク
お気に入りブログ
絵的生活他力本願! 書をつま弾く、そして歌う。 ふらんす堂編集日記 By... マリカの野草画帖 イーハトーブ・ガーデン 詩画倶楽部 ギャラリーきのこ 絵てがみに だんだん あぴあみのポッケ 粥彦( のほほん社 ) 検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ファン申請 |
||