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三日月散歩
Twitterより:
三日月散歩に出た。町を外れるとヒグラシの声が降った。池にはバンの番がいて、時折キャッと鳴く。オニバスは衰退したか、ヒシとマコモが繁茂。カワセミの姿はもう長く見ていない。

山際が霞んでいるので諦めた帰り道、思わぬ低きに糸月がいた。細い。月齢2.5。春のゴンドラ形に比べると縦に立っている。ちょうど電線の間に見えたので、音楽のヘ音記号のよう。耳を澄ませば、何か聞こえたかもしれない。

夕闇のネムノキ。葉は閉じて眠りにつきかかっている。花はシルエットでそれとわかる。見上げていると、ぽっと赤い星が灯った。牛飼い座のアルクトゥールスだった。

小学校校庭の病死した大榎。ばっさり伐られて、いまは太い枝を短く挙げるのみ。それも来月には根元から伐採されるという。近寄ると、両手を広げたような枝の中に星が入った。スピカ、火星、土星の三つの並び。これが最後の風景になるだろう。

夏場は歩かなくなるので、年々筋肉が衰え、あわせて肺機能も弱まっていく。
なんとか食い止めなければと思うけれど、今日も休み休みで、汗だくだく。
山歩きのつもりで、ゆっくりゆっくりでもいいからと歩く。
それでつい距離を、というよりも風景を欲張って、へとへとになっている。
決死の散歩というのもねえ、冴えないなあ。
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by r_bunko | 2014-07-29 23:47 | 自然
田舎の細道 —ジプシー・スイング
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ジャンゴ・ラインハルトの誕生日(5.16)は、芭蕉の奥の細道出立の日。
こまごま室内での用事もあるけれど、こんな日はじっとしておれない。
「片雲の風にさそはれて、漂泊の思ひやまず」、と散歩に出た。
連れは、奥の細道300周年の日に作った芭蕉像。
「取もの手につかず」双眼鏡を忘れ、シューズを履き間違え。

朝方は飛ぶように走っていた雲が、夕方には一つもない。
なんだ、「ヌアージュ」を聴きながら、雲も楽しみたいと思っていたのに。
雲は<へうはく>の友なんだがな。

翁がまず白川の関を目標としたように、宛は城山麓の芭蕉の木にした。
散歩のBGMはジャンゴと決めてiPhoneを探ると、まさかの一曲のみ。
(iTunesに収録曲が多すぎて、セレクトを後回しにしたままだった)
その一曲「マイナー・スイング」を取り敢えず繰り返して、
後はジプシーというプレイリストに入っている20曲で代行することに。

芭蕉は旅の達人、風の達人。
ロマの人々は旅の民族、空と風の民族。
われも、と言いたいところだけれど、魂はともかく、
さっそく道筋をうっかり。ゆるい登りで息も早々と上がり気味。

薔薇と金屑、エノキ、テイカカズラ、クローバー、オオデマリと
ここまでは前回と一緒。四つ葉も一枚見つけた。
バラもクローバーも芭蕉の知らない植物だろう。
一句詠んでもらえるなら、どういう句振りだろうか、と空想も楽しい。

空ではヒバリが高らか。
キジの声も一度したように思う。
どこの庭にもシャクヤクが咲いて、マルハナバチが花粉にまみれている。
ゆっくり坂を登り、犬に吠えられ、ようやく宛に辿り着く。
山麓の禅寺への参道脇に野生していたバショウ
それが無かった。どこか間の抜けた風景。まさかね。

一度花を見たいと願いつつ、暑い頃で叶わなかった。
この町で他にバショウのあるところを知らない。
誰のじゃまにもならず、独り茫々と天地に自適していたのにね。
その場を動けずにいると、すぐ頭の上でいい声の、いい歌がする。
ホオジロだと思うけれど、いつもより声も節も豊かで美しい。

やや元気が出て、寺まで登り、傍らの林に分け入ってみた。
白い花をびっしり着けた一木が涼やかに立っていた。
遠目ではミズキかムシカリかと見えたのが、ガマズミだった。
足下には珍しい形をしたトウダイグサが目に付く。



再び犬に吠えられながら坂を下り、別の峠道を登る。
バショウに会えなかったのなら、ユリノキだ。
娘さんが生まれた記念樹で、主は植木屋からフウだと聞いたらしい。
でも、花と実と葉のどれを見てもユリノキ。その花の季節。

無かった。歯の抜けたような風景。今日は、まさかばかり。
切り株があった。上の畑の片隅に伐採した幹や枝が纏められていた。
むざんやな、と芭蕉の山中での句が出かかった。
冬芽のままの枝先を三本ほど貰った。
一本だけ緑の新芽が出ているのを見つけて、それも貰った。
去りがたく写真を撮っているとセグロセキレイが眺めに来た。

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町から次々と馴染んだ木が消えていく。
流寓十年を慰めてくれた木たちである。
この二三年であちこちの木が刈り込まれてもいる。
藪や草叢が刈られて、鳥たちはますます住みにくくなるばかり。
家(町)を出て、散歩ではなく、漂泊をしたくなってくる。

農道をとぽとぽ帰っていると、まっすぐにカワラヒワが飛んできて、
頭の上でホバリング? と思ったら、電線があった。
さらに行くと、こんどはスズメが近くの杭に止まって大きく鳴いた。
こちらを向いて、iPhoneカメラを構えても逃げない。
キョロン、ジッ、キョロン、ジー、と聴き慣れない節。
アカハラみたいな囀りだけれど、どう見ても普通のスズメ。
普通でないのは、その態度と、その鳴き振り。

なるほどすべてのことは虚論かもしれない。
あるいは虚露と言ったのか。
「行く春や鳥啼き魚の目は泪」だから、今日鳥たちはやさしい。
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by r_bunko | 2014-05-18 12:57 | ふうら散歩
ときにはシュール
(5月10日散歩続き)

久し振りに大エノキに寄った。
新芽は一枚もない。
木は死んだまま立っている。
白い半月がそれを見下ろしていた。
夜になると星が咲くだろう。

中学校校庭のニセアカシア、
羅漢寺裏のテイカカズラを見て、四つ葉ロードへ。
なんなく一つ発見。
草刈りの後で叢が縮小していたが、
最後のスポットでは立て続けに十枚ほど。
五つ葉も二枚。

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村の入口付近にオオデマリ。
意表をつかれるような咲かせ方、
遊び心であるような、ないような。
庭園に園芸植物然としているよりはよっぽどいい

双眼鏡を忘れたけれど、天気がいいので遠回り。
山はいつの間にこんなに緑になったのか。
雲一片もなく、ヒバリが鳴きながら上下する。
ある一羽は月へ月へと昇っていくように見えた。

上池。
夏にはびっしりヒシが水面を覆う。
今はまだアサザの池もオニバスの池もシーズン前。
だからオートバイが走っているのか。
水に沈んで、だいぶ錆びついている。

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風景とはなにか。
散歩とはなにか。
日常的かつシュールなオムニバス映画を歩いたような夕べ。
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by r_bunko | 2014-05-11 22:51 | 自然
ハッカチョウ
「あの声は何?」と相棒。
ひー、ひー、ひよー。
「自分で言ってるよ」とぼく。

しばらくして、裏庭に一羽の鳥影。
ヒヨドリと思い込んでいたが、念のため双眼鏡で覗くと、
ハッカチョウの幼鳥。
真っ黒ではなく、濃い灰色。
白い斑点もちゃんとあって、冠毛が生え始め。

叭々鳥というと、八大山人の絵で親しい。
それが身近で見られる鳥だとは思いもしなかった。
それも今年はよく家の周りに来る。
一昨日はギャーと喚いていたが、物真似も上手な鳥らしい。
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by r_bunko | 2013-07-09 22:42 | 野鳥
四つ葉散歩
クローバーを見に行こうと誘われて夕べの散歩。

途中、小学校の大榎に寄った。
樹勢は芳しくない。
若葉の季節だけに、淋しさは隠せない。
それでもカワラヒワ、エナガなどが訪れた。
同じ校庭で、ニセアカシアは花を終え、センダンは今が盛り。

四つ葉は昨年のスポットでは二、三枚。
一番外れの池の畔で五つ葉も含めて二十枚ほど。

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あたりの田圃は代掻きが済んで、田植えを待つばかり。
能登の友人のブログではもう田植え四日目とのことだが、
こちらではあと一、二週間先になるらしい。
品種はヒノヒカリ。コシヒカリよりやや小粒。

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泥色の代田の畦にツバナの穂が揺れている。
こんな風景が案外美しい。
鞭を当てられながら牛が代掻きをしていたり、
苗束がぽーん、ぽーんと空に放り投げられて、
ほどよい田の位置にばら撒かれる風景が思い出される。
一束の重みや、投げるコツなどを覚えているから、
少しは親戚の田を手伝ったのだろうか。
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by r_bunko | 2013-05-26 23:39 | 自然
iPad miniが来た
14日未明にホトトギスの初音を聴いてから、毎夜その声を耳にしている。
町中にウグイスはいないだろうから、一羽が逗留しているのではあるまい。
次々に渡っていくほど、この夏はホトトギスが多いのか?

十露一句が百日になった。
一日一句と強いたわけではないが、欠句なく続いた。
無理をせず、高望みをせず、淡々と作句したのが良かったのかもしれない。
出来には不満はある。あって当然なほど俳句から離れていた。
ぼちぼちに俳句の感覚を取り戻したい。俳句の勘を掴んでいきたい。

そんな日に、iPad miniが届いた。
今秋と噂されるiPad mini2まで待てなかったのである。
愛用するならmini、
実用なら大は小を兼ねるiPad。
Retinaディスプレイ、解像度の問題など迷いに迷って、
ついにiPadに決定、Apple Storeのカートにまで入れて、大逆転。
やっぱり、手の大きさ、体の大きさ、机の広さに合ったものにしょう。
24ドットのワープロ文字や、
32000色フルカラーで十分楽しんでこれたのだから、
Retinaディスプレイに拘ることもなかろう、とあいなった。

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さっそく、ePub完成の「サックスマン」をiBooksに読み込んでみた。
見開きが、いい感じ。
フロッピー(エキスパンドブック)版以来、14年振りに復刻なるかもしれない。
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by r_bunko | 2013-05-25 01:03 | HP・PC・WWW
小庭のスズメ
コッコッコッコッコッコッ、と啄む成鳥。
…コツ……コツ……コツ…、と啄む幼鳥。

繁殖期にアップテンポで駆けずり回る親たち、
何かにつけてとろりスローテンポのひなたち。
この妙なポリリズム風景が毎年のことながらとても新鮮。
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by r_bunko | 2012-05-23 22:58 | 野鳥
朝のスズメ、昼のセキレイ
スズメのひなが来た。
例年より少し遅い。

昼過ぎ、外で柔らかい声。
普段聴き慣れない節ではあったが、
耳と脳が相談して、セグロセキレイと推察。
念のため勝手口を出て、目が然りと確認してきた。

昔の話。
ある日、犀川の河原で麗しくさえずる小鳥がいた。
あまりにいい歌なので、立ち止まってあたりを見回していると、
散歩中の紳士が「あれは何という鳥か?」と訊いてきた。
双眼鏡を携えていたので鳥には詳しいと踏まれたのだろう。
姿が見つからぬままにセグロセキレイだと思うと答えると、
紳士は黙って憐れむような眼をくれて去っていった。
では違うのか、確信が持てなくなった頃に、
川べりの屋根にセグロセキレイが現れて再び歌い出した。

妙なる調べは三鳴鳥だけではない。
八木重吉は「すずめこそ/かりようびんが」と謳ったが、
恋する春の鳥はみんな迦陵頻伽といってもいいかも知れない。
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by r_bunko | 2012-05-18 23:30 | 野鳥
スーパームーン
午後、図書館へ。
公園のタイサンボクへ寄り道。白い蕾が立ち上がってきた。

恩地孝四郎の詩集を予約して、
アキ・カウリスマキの映画一本を借りる。
『コントラクト・キラー』では、ビリー・ホリデイの歌が二曲流れた。

遠雷が一度、入道雲が起っていよいよ夏か。

  ※

夜。空は濁ってもやもや。
スーパームーン(近日点での満月)とやらで、確かに大きめの月。
23時頃、再び見に出ると、近くでアオバズクが鳴いた。
濁った月と、澄んだ声。
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by r_bunko | 2012-05-05 23:56 | 天文
青葉木菟
夜11時。
アオバズクの鳴き声。
四月に聴くのは初めて。
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by r_bunko | 2012-04-29 23:44 | 野鳥



詩と、絵と、ジャズと……星と鳥と……漂泊文庫便り
by r_bunko
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