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ふうらもぼくもどこへ行くのか?
朝方、twitterに呟いた後、あれこれ思いが巡ったので:

アンドレ・ブルトンは魚座生まれ。若い頃に『ナジャ』に衝撃を受けた。挿入されたパリのマツダ・ランプの写真にも。六角文庫の詩画のルーツはこのあたり。


ポール・エリュアールとマン・レイの合作『ファシール』は憧れの本。他にコクトーやロルカの素描に惹かれた。そんなところから竹ペンを愛用、のちに墨と筆で<ふうらかん>なるものを描くけれど、出発点は詩人の素描にある。

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(1978年頃か。ふうらかん以前の原ふうら。竹ペン)


ふうらかんは、絵の世界なのか、詩の世界なのか、作者にもふうらにも判らぬところがある。北条石仏が原像だから宗教の世界かと言うと、それも違う。微妙にどこからもずれているような気もする。それはそれで構わないけれど、正体のしれないものを追いかけるにはそれなりのビジョンが要る。その力をどこから得るか。それは意図しなくても、自ずから機能しているようにも思う。踵を着けずに、臨機応変の体勢をとった時に、やはり最も頼りになるものが主軸となってバランスをとっていくのではないか。それを信じてみる。


ではそれは何か。ぼくの場合は詩であろう。広義の詩である。広い広い広ーい意味での詩。詩がベースだから料理だから、絵も音楽も小説も映画も、科学も生物も宗教も全部そこに入れてしまうような、世界としての詩。摂理としての詩、思想としての詩、元素としての詩。存在としての詩。まあ、超広義だからあまり細かくは言いたくない。


もっと有り体に言えば、画力には自信がなく、宗教心も薄く、というだけのことであるかもしれない。その分、詩ならば責任も取れるだけの努力と困難と愉悦と悲哀を積み重ねた、と自分で思い込んでいるのかもしれない。それもそれで構わない。この未明体がどこへゆくのか、この未開体がどのように白んでゆくのか、それが大事だからである。


『ナジャ』や『ファシール』が伝えてくれたものはイマジネーション。その翼(翅)のありようや飛翔力であったろう。素描や俳句が好きなのも、想像力の翔ける広い空ががらんとあるからだろう。ふうらかんは北条石仏から飛び立った草の絮のようなものかもしれない、とどこかに書いた。その石仏自体も謎に満ちて、イマジネーションの乗算がそこにある。どこへ飛んでいくか、ほんとうにわからない。
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by r_bunko | 2014-02-19 20:39 | アート
レッド・ピープル
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本の案内所「プレセペ」に続いて「Atelier Maajo」の陶像ページをリニューアル。
Twitterから:

音座のレッド・ピープル野焼き像ページを独立させた。まだ少し残っている。今夜の仕事。

二人でネイティブ・アメリカン関連の本を色々読んでいた頃は、悲劇的な歴史を記述したものばかりで、気が滅入りながら、人類不信に陥りそうになりながら……。それだけに金関寿夫『アメリカ・インディアンの詩』はわくわくして読んだ。

ネイティブの血を引くリンダという女の子が貸してくれた洋書の大冊『Seven Circles』がすばらしく、まるごとコピーさせてもらって大事に持っていた。文章があまり読めなくても、図版が多く面白かった。

チャーリー・パーカーにもレッド・ピープルの血が流れている。「チェロキー」「モホーク」を聴いてみよう。

確か、ジミ・ヘンドリックスもネイティブの血を引いていたはず。
ザ・バンドのロビー・ロバートソンはカミングアウトして、
「Music For The Native American」という素晴らしいアルバムを作っている。
ジャズでは、リック、リーのロジー兄弟のフリー・フォームのアルバムがある。

本で感銘を受けたのはナヴァル・スコット・ママディ『レイニ・マウンテンへの道』。
この本がまさしくレッド・ピープルへの道を拓いてくれたのだった。
それから白人ではあるが長い交流をプエブロ族と持つ、
ナンシー・ウッドの『今日は死ぬのにもってこいの日』。
野焼きを始めた後に読んだけれど徳井いつこの『スピリットの器』。
本棚から幾冊か抜き出してぱらぱら繰っていると、
蕪村と賢治から学んだと思っていた<世界のディテール>へのこだわり、
(まあ、愛といってもいいのだろうが)
(幼いトウモロコシをだいじに世話する雨雲のような)
そこにネイティブ・アメリカンのスピリットも投影しているのに気が付いた。
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by r_bunko | 2014-01-06 23:36 | アート
レストランの雀、サングラスの蕪村
例年よりレストラン・オープンが遅かったせいか、
今朝はスズメたちがずらりと並んで待っていたらしい。
そろそろ落ち穂や柿など餌が尽きてきたのかなと思うが、
よくまあ覚えているものだ。
結局催促されてレストランをオープンしたとのこと。
スズメたちは押しかけ得。
ただ午後にも騒いでいたのは、
午前しか開かないのを覚えていないのかね。
まあ、アベマキも散ってはいないけど黄葉を終えたし、
これで本格的に冬入りだな。

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美しい黄葉の一枚は、
新しく書架に加わった一書に挟んだ。
  田中冬二「サングラスの蕪村」
こんなページだ。

 右の膝頭に顎をあてて脛をみつめていると
 足摺岬 知床半島 断崖

さすがに詩人の感性、なるほどと思わせたりする。
でも膝頭と言えば、蕪村の友人の不夜庵太祇。
  行 く 秋 や 抱 け ば 身 に 添 ふ 膝 頭
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by r_bunko | 2012-12-05 23:04 | 本・電子本
星百科大事典
孤島に持っていくのに、もう一冊許されるならば、
ロバート・バーナム・Jrの「星百科大事典」を携えたい。
小望遠鏡での観察記録に役立つデータ満載の大冊。
全天88星座の恒星、二重星、変光星、星雲星団などが、
豊富な写真・星図・表・グラフとともに詳細に解説されている。
最新のハッブル望遠鏡の宇宙写真にも目を見張るが、
本書に掲載のモノクロームの写真の素晴らしいこと。
もともと自分の研究観察用のノートだったものを、
当初ルーズリーフ形式で自費出版していただけあって、
星と宇宙への愛に満ちあふれている。
高価な本だったが、とある原稿料を図書券で貰った際に、
足りぬ分を補って<えいやっ>と入手した。
空の星とこの一冊があれば生涯飽きることがないだろう。
望遠鏡はあれば申し分ないが、
無ければないでイマジネーションがあればそれで済む。

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ところでそのロバート・バーナムの生涯:

1931年シカゴ生まれのシャイな少年は、
両親と移住したアリゾナの空を自家製の望遠鏡で探索。
1957年秋に彗星を発見、これが縁でローエル天文台に就職。
1966年に「Celestial Handbook」を出版。
1978年にドーバー社から改訂版(1988年に日本版)。
1979年に一連のプロジェクトが終了、天文台を解雇される。
著書は好評で売れ行きも良かったが、出版社と揉めたり、
シャイで孤独な性格もあって困窮、1986年にドロップアウト。
晩年はサンジェゴの公園で猫の絵を売って暮らし、
無名と貧困の裡に1993年61歳で世を去った。

うーむ。知らなかった。Wikiで知ったばかり。
天文界にはもう一人同姓同名の編集者がいたらしく、
彼の読者はその人と混同して、誰も実態を知らなかったとか。

1993年と言えば、北陸在住の天文中年は、
念願の小望遠鏡(Teegul-100)を手に入れて、
雪雲を恨みながら、束の間の観望に勤しんでいた頃。
当時(彼の亡くなる二日前 3.18)のフィールド・ノートに、
  金星
  高度20度。いよいよ夕空低くなる。次第に観測困難。
  三日月から二日月、さらに一日月へと細りゆく。
  輝面比…k=0.1 視直径54秒 0.3天文単位。
  春の夕べの細身のヴィーナス。夕鶴のつうを想わせる。
  3月30日の内合まで、出来るだけ細い金星を見たい。

うーむ、こうして振り返って読んでいるうちに、
この金星はそのままロバート・バーナム・Jrにも思えてきた。
金星は内合が過ぎたら明け方の空に戻ってくるが、
その人はついに太陽に溶暗して消え去ってしまった。

1400ページ。3キログラム。
「星百科大事典」は、
つうが一枚一枚自分の羽で織った「鶴の千羽織」のような、
ロバート・バーナム・Jrの骨身を削った一書である。

たいせつにしなくては。
ぼろぼろになるまで読まなくては。

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(おおぐま座ではゴッホの「星夜」なども紹介されている)
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by r_bunko | 2012-11-24 15:38 | 天文
ベンのトランペット
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Rachel Isadora《Ben's Trumpet》

モノクロームのジャズ絵本。
ベン少年と、
《ジグザグジャズクラブ》のトランペッターに感謝して、
今夜はラッパ特集。
星の冴える夜には金管楽器の音色が沁みてくる。

Miles Davis 《The Modern Giants》
Loui Armstrong 《The Great Reunion》
Tony Fruscella 《Tony Fruscella》
Kenny Dorham 《Quiet Kenny》
Clifford Brown 《Paris Collection 4》
Dusko Goykovich 《After Hours》
Johnny Coles 《Little Johnny C》
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by r_bunko | 2012-10-13 23:55 | 音楽
Three Wishes
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100匹の猫たちが暮らすニカ男爵夫人のキャットハウス。
そこに出入りした300人のジャズ・ミュージシャンの、
「もしいま叶うとしたら」の「三つの願い」。
率直、珍妙、洒脱、いろいろな答えが聞けて、
そこからそれぞれの人間性が浮かび上がっても来る。

最初の回答者はセロニアス・モンク。
 1. To be successful musically.
 2. To have a happy family.
 3. To have a crazy friend like you!

この本はまた素晴らしい写真集でもある。
ポラロイド・カメラで撮られたリラックスした姿、
汚れや変色や破れも却って生々しい交流をうかがわせる。
パーカーこそこの中に居ないものの、
ハードパップ期のジャズメンを中心に、
スイング以前からフリージャズのメンバーまで。

序文に依ると、ニカに捧げられた曲は20以上あるという。
手元にあるものはiTunesのプレイリストに纏めてみた。
それを聴きながらページを繰っていくと、さらに楽しめる。
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by r_bunko | 2012-06-09 23:44 | 音楽
懐徳碑—柳田民俗学の入口
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柳田國男「故郷七十年」より

「北条町にいた明治18年のことである。それがおそらく日本における飢饉の最後のものだったろう。私は貧民窟のすぐ近くに住んでいたので、自分で目撃したのであるが、町の有力な商家「余源」をはじめ二,三の家の前にカマドを築いて、食糧のない人々のために焚き出しをやった。人々が土瓶を提げてお粥を貰いに行くのであるから、おそらく米粒もないような重湯であったかと思われる。約一カ月も、それが続いたように憶えているから、よほど大きな飢饉だったのであろう。」

それを記録した「懐徳」という碑が残っている。
148名の篤志家が米穀を提供し、1500戸が救われたと碑文にある。
裏には食糧を差し出したものの名前と地域がずらりと彫り込んである。
この飢饉が柳田少年に与えた影響は大きく、

「その経験が、私を民俗学の研究に導いた一つの動機ともいえるのであって、飢饉を絶滅しなければならないという気持が、私をこの学問にかり立て、かつ農商務省に入らせる動機にもなったのであった。」

柳田民俗学の入口に立つ石碑。
去年の東北大災害ではさまざまな「懐徳」の行いがあったことだろう。
人間と自然の新たな学問もまた生まれてくるに違いない。
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by r_bunko | 2012-02-15 23:56 | 播磨
柳田國男全集
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柳田國男全集を譲って貰った。
郷里の大先輩。
ビニール紐ではなく、
手作りの愛らしい紐で括られているところがいい。
こうなれば鋏で裁ち切れないもので、
ゆっくりとほどいて紐も取っておく。
こういうところにさりげない暮らしの知恵はあって、
民俗学の大家もこれなら喜ばれるだろう。
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by r_bunko | 2012-02-13 23:54 | 本・電子本
風羅堂
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姫路にオープンした書肆風羅堂。主が詩人らしく詩書中心の本棚。
同世代のようで、懐かしい本の背がずらりと並ぶ。
値付けがまだで、とりあえず一冊、知念榮喜「ぼくはバクである」をもとめた。
奥にはビールやコーヒーが飲めるカウンター、
イベントやライヴも予定ということで楽しみな店が出来た。

風羅堂は、芭蕉の門人広瀬惟然の縁で姫路に代々受け継がれた。
一世に風羅坊芭蕉を据え、二世は風羅念仏の惟然、
三世が姫路の井上千山で書肆も営んでいたというから、水脈は続く。

ふうらかんも、また風羅坊の系譜であり、
ふうら外伝の陶像作りは、次に惟然と決めて果たせなかったもの。
そのうち増井山の麓に風羅堂跡を訪ねてみたい。

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書肆風羅堂の並びにサックスを吹く黒人のフィギュア・オブジェがある。
顔はどう見ても、チャーリー・パーカー。
惟然とバードが蘇って、姫路はなんだか楽しくなった。
そう言えば、パーカーの直系も焦門と似た様なもので、
アドリブ・フレーズをそのまま再現する
スーパー・サックスなるグループも出現して驚いたことがあった。
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by r_bunko | 2011-05-05 23:05 | 播磨
雲は天才である
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雲の墨象。

本屋でカフカ「こうのとり」を立ち読み。
『寓話集』所収の掌編。
これがすごくいい。
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by r_bunko | 2008-10-16 23:34 | 自然



詩と、絵と、ジャズと……星と鳥と……漂泊文庫便り
by r_bunko
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