音楽の呟き
ご無沙汰してしまった。
短いものはついTwitterで済ますけれど、
あちらは時間の川を流れ下ってしまうので、
音楽と天文の呟きをこちらにまとめて空白を埋めてみる。

リチャード・ツワージクのアナログ盤が届いた。彼名義の唯一の正式録音で、死後に出て、それも片面(A面)のみ。CDで聴き込んできた演奏が、曲順の違いもあってか新鮮に聴こえる。音質はRVGスタジオらしく、やや籠もり気味だが、空気が柔らかい。繰り返し聴いている。

一曲目《A Crutch for the crab》の冒頭がCD収録演奏と比べると僅かに欠けている。そのために別テイクとされて両方収録のCDもあるらしい。タイトルが何のことやらだったが、ヤン・スメテルリンのピアノの鍵盤を這う手にインスパイアされた曲だとか。

   ※

AirMac Expressを新調してから、iBook G4のiTunesからスピーカーへ音を飛ばせなくなって困っている。AirMac ユーティリティのバージョンを手動でアップしたら、無線LANの感度が悪くなって元に戻した。

Mac MiniにはCDドライヴがないので、聴きたいCDは一旦iBookに取り込んでから転送。まとめてだと外付け経由ということでいささか面倒。

面倒と言えば、昔粘土仕事をする作業部屋では、レコードの片面終わる毎に手を洗いに行って、アルバムを取り替えていた。陶像一体作るのに長い時間がかかるので、音楽は必須だった。

ふうら陶像一人一人にどんな音楽で生まれたかメモしておいても良かったな。ジャンゴのギターや、ロマの歌で生まれた人、モンクで生まれた人、パウエルで生まれた人。ユッスー・ンドゥールやサニー・アデで生まれた人、レゲエのダブから生まれた人、ブルースから生まれた人等々……。

リチャード(ディック)・ツワージクのジャケットはすぐに天が剥がれてしまった。
ボンドでくっつけたが、今度はビニール盤が入らず、無理をやるとまたぱっくり。
ま、それはともかく、演奏内容は申し分ない。
なんたって、正式トリオ演奏はこれしかないのだから。
「ラウンド・ミッドナイト」をモンクの重力から自由に弾けるピアニストは、
バド・パウエルとこのツワージクくらいではないか。

ふうらの陶像作りも長く離れているけれど、
一番時間と手間がかかるのが楽器を演奏する御仁。
尺八と横笛がメインで、楽器は実際の竹の枝や草の茎を後で持たせる。
焼成の収縮を計算しながら手指を按配するのが実にやっかいだった。
それでも元気なときにトライするのはやっぱり音楽がすきだから。
2004年に作って乾燥したままの像が数十体、
どなたか焼いてくださらないかな。
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# by r_bunko | 2013-12-23 21:54 | 音楽
天文祭—満月、流星、彗星、水星、夫婦星
彗星が賑やからしい。
七等以上のものが四つほど夜明け前の天空にいるとか。
ただし、この日は満月。
獅子座流星群極大日でもあるが、条件は厳しい。

四時過ぎに防寒装備をして(ガウンをまとって)表に出た。
月が明るい。うっすらと雲もあるようだ。
アイソン彗星はまだ早いだろうと、
天心のラブジョイ彗星の探索から始める。
北斗と獅子の間に潜んでいるはずが、やはり見つからない。
いったん部屋に戻って星図の位置を確認、
再度のトライでなにやら淡々しいしみを発見した。
口径42cmの双眼鏡で手振れもあるし、あまり確証はない。
何度か流してみて、やはりそこに何かある感じ。

そうこうしているうちに屋根の上に赤い大きな星が出た。
牛飼い座のアルクトゥールスだったから、
ではと北斗の柄からカーブを描いて、さらに延ばしてみる。
そこにスピカとアイソン彗星がいるはず。
カーブは思いのほか水平に近く、スピカは案外な高さにいた。
さっそく双眼鏡を向けたが、彗星の姿はない。

何度か出入りする音で相棒が起きてきた。
せっかくだからと望遠鏡を出して、二階の窓から眺めてみた。
すると、いた。ぼうっーと淡く広がったものが。
スピカの真珠の輝きの北に、アイソン彗星の綿毛。
これから太陽風で吹き飛んでしまうかもしれない光芒。

この日は他に、
リニア彗星がアルクトゥールスのすぐ西に、
エンケ彗星が水星のすぐ東に、と珍しい天文祭のような空。

折から西方最大離角の水星がぎらぎらと昇ってきた。
これも久方振りの観望。
麦星も覗いてみたが、リニア、エンケ両彗星は七等とあって、
今日のシーイングでは確認はちょっと無理。

それにしてもなんという天文イベントの日だったろう。
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# by r_bunko | 2013-11-18 08:35 | 天文
立冬上人
天の川のように流れるうす雲。
雲のせせらぎに浸った白い三日月。

秋明菊は先発の二輪が咲き終わり、新しい可憐な蕾。
石蕗は例年より早く黄色い輝きを見せている。
小鳥の植えたピラカンサは実を満載。食べるのはずっと先。

   ※

26年前(1987年)の立冬に、
犀川上流の河原で一個の石と出会った。
そこに籠もる一人の人物。

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立冬上人とも、小春和尚とも、犀川仙人とも。
面長で、窪んだ小さな目。
白いあごひげ、柔らかい背。

りんごのりんご上人は腐ってゆかれたが、
このひとは四半世紀後の今も石の中に籠もったまま。

   ※

その日は相棒の誕生日で、
一人の踊り子が犀川とアトリエでパフォーマンスをした。
集まったのは14人。

   山 河 や 人 体 し ろ き 秋 の 暮
   立 冬 の 河 原 の 石 に 夢 籠 る

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(写真上:立冬上人 2013.11.7 / 下:金沢舞踏館・白榊ケイ 1987.11.8)


 → 詩:石に眠るひと(貘祭書屋)
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# by r_bunko | 2013-11-08 22:30 | アート
秋の影を抱く
小学校の榎の具合を見に行った。
雲一片ない空に、葉一枚ない木。
紅葉の季節まで保たなかったようである。
校庭に落ちた樹影をカメラに収めた。

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羅漢寺に足を延ばす。
閑寂な境内にモズの高鳴き。
メジロやコゲラの声がしたが、姿は見ない。
珍しいカエルの鳴き声も響いて、
でもみんなモズの鳴き真似じゃなかろうな。
羅漢たちの耳はどんなふうに聞いたか。
ドングリが一つ落ちた。

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羅漢場の奥の塀に木の影が映って、
「花」というふうにも読めた。

今日は野尻抱影の命日。
影に縁がある日になった。
夜は久し振りに星を観に出た。

  オ リ オ ン の 扉 を 開 く 抱 影 忌
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# by r_bunko | 2013-10-30 23:38 | 北条石仏
暮鳥旧蔵の千家元麿詩集
もう一つの10月22日。
ホームページにかつて掲載していた一文を再掲する。
本にまつわることばかり綴ったエッセイ「文庫草誌」より:
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 古書展に久し振りに行った。「月の光」「真夏の星」と天体タイトルの本が星好きの目につく。前者は明治31年発行の月を巡ってのアンソロジー。月の科学から歴史・民俗・文学までを扱った小冊子。後者は千家元麿の詩集であった。なあんだと思いつつ、巻末ページを見て「あれ?」。細いブルーブラック・インクで「やまむらぼてう」と丁寧に署名してある。1924.10.22 の日付とともに。詩集の発行日は同年の9月20日。暮鳥が没したのが、12月8日。するとこの本は、死の一ヶ月前に購入して病床で繙いていた遺品ということになる。ちょうど『雲』の校了にかかっていた頃。
 そんなものが今頃こんなところに出回るか、遺族が処分するか、結核だったから当時ではあり得るかなど思いはぐるぐる巡って、さてどうするか。この本の持ち主も貧窮していたけれど、巡り会ったこちらもすこぶる懐は寒い。哀しいね、縁だねと、千家も含めての一本の糸を、一日迷った後手繰り寄せた。

     ※

そうは書いても、いまでも暮鳥の蔵書だった、というのは半信半疑である。
あいにく暮鳥の筆跡にも詳しくないので判別できない。
もしや、と思ってネット検索すると校正原稿の自筆が一つヒットした。
それと照合する限り、「ま」「て」の二字が同じ筆跡に見える。
サインの佇まいのようなもので本人の字だと直感したにすぎなくて、
それよりも暮鳥の蔵書が手元に巡ってきたことの方が信じ難いことなのだ。

巻末には蔵書印と思しき印もある。
哀しいかな、これが判読できない。
元麿か暮鳥の雅印か、後の所蔵者の遊印か。
どなたかご教示願えたらありがたい。

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# by r_bunko | 2013-10-23 00:05 | 本・電子本
中也忌
本日のTwitterより:

今日は中原中也忌。昔三年連続でこんな句を詠んでいた。
 1987 まづ一羽鴎の中也飛び来たる
 1988 鳴き急ぐ蟲の中也のよもすがら
 1989 秋の宙星の中也の見あたらぬ

鴎の中也は犀川桜橋〜下菊橋の堰堤に来たオオセグロカモメ。たった一羽でユリカモメに先がけてやって来た。冬はもうそこだ、と教えてくれた。うわずってなんかいられなかった。

2000年に妻がスズメのひなを拾ってきて育てた。「雀の中也」と題してホームページに育雛日詩を連載した。さすがに中也とは呼びにくいので、実際にはチュールと名付けた。そのときの体験は『天狗と雀』という作品になった。

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    ※

散歩に出たなら、今日はどんな中也に会えるだろうか、
花の中也か、雲の中也か?
雲は空のほとんどを覆ってきたので、居ないだろう。
花なら、コスモスの中也が風に揺れているだろうか、
案外どんぐりの中也がぼとりと落ちてくるのかもしれない。
などと想像を楽しみながら、家を空けられなくて出不精した。
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# by r_bunko | 2013-10-22 20:03 | 本・電子本
そこらの秋ー2
そこらの秋、そこらの里の良さはやはり柿の木にある。
実も葉もいい。木の姿もいい。
実に墨で描いたような模様の出る一木があって、
今年も自然の墨象展を楽しんだ。

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帰り道、ひょっとしてと遠回りすると、マツムシの独奏。
しばらく聴き惚れた。白い夕月とよく釣り合った。
その後、相棒はツリガネニンジンを訪ねに、
こちらはオニバスの池にと、坂の上下に別れて探索。

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池の風情も年々変わる。
オニバスは池の南半分を埋めていて、
昨年から北の一部にハスが生えてきた。
枯蓮の今頃はミロの絵画のような風景。

ツリガネニンジン隊が確認を終えて合流してきた頃には、
山際にすとんと太陽が落ちていた。
播磨風土記1300年の賀毛の里の秋の落日である。

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# by r_bunko | 2013-10-14 23:50 | 自然
そこらの秋ー1
冬籠り、微粒子籠り、梅雨籠り、夏籠り……
と続いて、足腰も呼吸力も弱くなったようだ。
今年は夏冬ともに厳しく長かったので、無精を極めた。
うかうかすると秋も去ってしまうので、
台風籠りになる前にぶらりと散歩に出た。

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イヌマキが赤く熟していた。
一粒口にしたいと願って、
よく見れば一つの花床に二つの種子。
そんな奇形のものが幾つかあって、甘味は諦めた。
さらに小さな先客が一匹。
殻の直径四ミリほどのカタツムリ(写真中央)。

道端のノコンギク、イヌタデ、ミゾソバ。
畑には取り残されたナスやトウガラシやオクラ。
ほとんどの田は稲刈りを終えて、
黄色に輝くのはあちこちに群生するセイタカアワダチソウ。
ススキやセイタカヨシなどの穂は風もなく動かない。

山の天辺の梢でモズが高鳴き。
妙な飛び方のキチョウとも遭遇した。

権現平のキリは実をいっぱいつけているようで安心。
猪用の金網が張り巡らされて山池へは立入禁止なので、
キリの木と共に夕日を拝むことが叶わなくなった。

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# by r_bunko | 2013-10-14 23:33 | 自然
ならの実賢治祭
羅漢寺で遠来の友人親子と待ち合わせ。この日は宮沢賢治没後80年。デクノボーを意識して作ったふうらを連れて行った。

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羅漢寺手前の小学校では「ならの実大運動会」。イーハトーヴの童話にでも出てきそうな名称で楽しい。らかんたちがいつもより小さく見えたのは、童心に帰っていたのだろうか。

この運動会を毎年見守ってきた樹齢140年のエノキの寿命がとうとう尽きたらしい。春にわずかな新芽を着けていたが、それも枯れ果てた。高学年の120メートル走のゴールは、エノキのちょうど手前。エナガの群れが翔けてきて、遊んでいた。
                 ——Twitterより

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羅漢寺ではモズがしきりに高鳴き。
蝶が一頭、地面を歩くように、這うようにしていた。
ツマグロヒョウモンの雌で、翅が破れている様子。
舞おうとすると、ぐるぐる旋回するばかり。

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あるらかんの背で普段見馴れない雑草が伸びていた。
アキノタムラソウに似ているけれど、何だろう?

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夜は立待月。
ほんのしばらく、美しい光環を見せてくれた。

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# by r_bunko | 2013-09-21 23:51 | 北条石仏
十六夜の月下美人の四姉妹
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月下美人が今年三回目の開花。一輪は台風で蕾が落ちた。
狭い路地に面した玄関脇に鉢を置いているので、通りはいい香りに包まれる。
十六夜は草舎の屋根の上。
降りしきる月光と、匂い立つ花の四姉妹。
宵の内誰一人通らない寂れた通りで、なにかもったいないね。
「私の好きな兵庫のまちなみ100選」の、
旧色町から寺町へのブリッジのような路地なんだけれど。

さて、今回四輪の内二輪は焼酎漬け。
相棒がプレゼントにするのだそうな。
残りの二輪は明日てんぷらと酢の物に、ということらしい。
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# by r_bunko | 2013-09-20 23:49 | 自然



詩と、絵と、ジャズと……星と鳥と……漂泊文庫便り
by r_bunko
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