カテゴリ:さまざま( 19 )
哀愁館
懐かしいことを書いていただいた。
「哀愁館より」—ヒナタノオト工芸帖
それで金沢時代にしばし住んだ家のことを:

犀川べりに空き家を見つけて大家を探し出し、八年住んだ。
1981年秋から1989年夏まで。
友人の一人は古くて一年保たないと反対した。
相棒は大いに気に入って「哀愁館」とニックネームをつけた。
まあ川辺に春夏秋冬、四季だけでも過ごせれば十分と入った家。
大正初期の建築で、さすがにあちこち歪みもきていて、
入居一週間は船酔いにも似た気分を味わった。
昼間の太陽の下では見る影もなかったけれど、
月光に照らされると美しく風情のある家だった。
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貧乏カップルに、二階建て六部屋。
二間のバラックから移ったので、ほとんどがらんどう。
古いちゃぶ台、タンス、白黒テレビ、掃除機、湯沸かし器等々、
友人達からいろんなものが持ち込まれた。
織物をしたいからと機織り機、
人の出入りが多いからと電話機。
住むところがないからと放浪者。
いつも誰彼が出入りしているような家で、酒と音楽はいつもあった。
音楽は相変わらず流れているけれど、
酒も人の出入りもなくなった今の暮らしとはえらく違う。

その家のことは、なにかの形で書いておきたいとは思う。
写真と短文のコラージュ風、スクラップ風のものがいい。
途中までメモのような草稿はある。写真が足りないのが残念。
『哀愁館』と名付けた詩集は正続あるけれど、
これは住んでいた頃の作品をあつめたもので、また別。

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最後は台風19号に痛めつけられて、大正家屋の歴史は終わった。
1991年夏に「哀愁の館」というイベントを、
たくさんのアーティストと一緒に開いたのがなによりだった。
家を持たずに漂流していると、こんな家に出会う。

(思い出記念に哀愁館時代の二人の家の絵を)
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by r_bunko | 2014-03-20 19:01 | さまざま
桃の日に、バイクで、バスで
晴の予報で、浮遊微粒子は少ない模様。
ただ風が強くて冷たいとか、一応双眼鏡を忍ばせて。
ついでに携帯用カイロも。

バス停に向かう途中、なぜか雨がぱらついた。
息切れを考慮して早めに出た分、長く待つことになる。
そこへどっどっどっと大型バイクが二台入ってきた。
ベンチの後ろに停めて、ヘルメットを脱ぐと一人は女性。
ショッピング・モールに用事があるわけじゃなく、
雨も寝言のように降っただけなので、
タバコを吸いたくて休憩したようだ。
バスが発車する前にどっどっどっと行ってしまった。

  桃 の 日 の ど ど ど 大 型 バ イ ク 乗 り
  ハ ー レ ー の 二 台 で 男 雛 女 雛 ゆ く

神戸ナンバーの男女を見送って、こちらは山上の病院。
雛壇ならぬ廊下に並ぶほとんどが老人たち。
前回四つの検査80分を受けて、
この日予約より20分遅れ、結果説明を5分ほど聞いた。
まあ懸念事項は消えてなによりだけれど、
疾患に関しては「この薬のまま数年いきましょう」。
数年を喜ぶべきなのか、哀しむべきなのか、
まあ覚悟もあったことだから喜んでおこう。
楽しみの散歩は取り止め。雲が多く、風も強い。
行きも帰りもバスの乗客は一人だけ。
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by r_bunko | 2014-03-03 19:45 | さまざま
呼吸は生物の一大事
風邪を引いた。
風邪対策に今冬は反射式ストーブを購入したのに。
お湯が涌かせて、鍋が煮られて、加湿が出来て……

さて、禁断の風邪を引いて、寝込んで、病院に行って、
新たな薬生活ということになった。
気管支拡張の吸入薬の助けを借りての生活だから、
いよいよ待ったなしの晩年ということになる。
いまはまだ風邪も脱けておらず、咳も続いているので、
薬の効果による呼吸具合は計りようもないのが残念。

まあ、若い頃には野垂れ死に結構などと、
突っ張っていたのだし、覚悟は出来ているが、
独りではともかく、相棒がいるとなるとそうもいかない。
たったひとり全部の作品を読んでくれていて、
ずっと才能を信じて支え続けてくれたのだから。
やっておきたいことはいっぱいある。
電子本作りもその大事であるけれど、
これがなかなか認知されず、茨の道がどこまでも。
 
   ※(追記)

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久々の遠出は山の上の病院。
その敷地から見た懐かしの蝸牛山。右に世界最大の地球儀時計。
東の散歩コースはこの界隈、山向こうの丸山公園、手前の谷田池。
カワセミ、イカル、ミヤマホオジロ、アカゲラ、ルリビタキ、ベニマシコ、
去年はウソやキクイタダキにも出会ったし、ヨタカやトラツグミもいた。

カラスウリ群落も、サザンカ市もこのあたり。
スズメウリの飾りをまとった小さな杉のクリスマス・ツリーがあったり、
暗い杉林の中に咲く背の高いコブシが人知れず満開だったり、
とびきり美声のアオジが、麗しい歌を聴かせてくれたりもした。

冬から春がそういったシーズンだけれど、今年はまだ訪れていない。
病院通いの二度、遠目に眺めただけ。
帰りに元気があったら蝸牛山経由で散歩、という案は、
寒さと風の冷たさで断念。気温がまったく上がらない。

薬はさらに一つ増えた。予想より一段悪い。
二週間後にいろいろ精密検査があるものの、一段覚悟を引き上げる。
呼吸は生物の一大事だとつくづく思う。
わが呼吸はいつかは止まるのだろうが、詩や俳句や絵の作品、
電子本の一冊一冊に、いつまでも新鮮な呼吸をとどめたい。
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by r_bunko | 2014-02-10 22:33 | さまざま
3度Kの温かさ
故郷は相変わらず異郷のよう。
幼い頃から狭い土地を転々として、いつもよそ者だったからか。
他郷にいれば落ち着く妙な放浪者気質になった。
だからどこかに移りたいと思うけれど、
なかなかその方策も立たない。
十年の流寓に似た暮らしを続けてきて、
ようやく気持だけはふんぎりがついてきたかもしれない。
多くのものを棄てて諦めた上のことで、
どれだけ淡々と薄味にやっていけるか、
言ってみれば宇宙の絶対温度3度Kの温かさ。
それがこの広大宇宙の愛であり、
あまねく仏の慈悲であろうし、
哀しくとも辛くともなお
生きようとする者の本源にあるエネルギーのように思える。
微かな(幽かな)感知しがたい、
虚とも実とも計りかねる領域を信じて、
棄ててもなお残る大事なものがあるならば、
それをこつこつとやっていくしかないだろう。
天命は天しか知らぬ。
地にある者は未完の読点に向かって歩むのみ。
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by r_bunko | 2013-12-31 23:11 | さまざま
風の盆
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YouTubeで八尾の風の盆の映像を観ていた。男踊りと女踊りの恰好よさ。おわらの節と、三味線、胡弓の響き。それに台所土間の鈴虫が絶妙に出入りして、見事な囃子方となった。音調も間合いもぴったし。これはオススメ。

   ※

ジャズ喫茶『ヨーク』のマスターは八尾出身だった。映像の踊りは天満町。25年前に通りすがりに酒の馳走に預かったのは諏訪町だったか。当時の句、
  虫 の 音 も オ ワ ラ 諏 訪 町 鏡 町
  淋 し さ は 唄 に 追 は る る 秋 の 風

   ※

ふと目に入った鷺草。いつの間にか四輪目が咲いている。白い袖を左右に広げ、編笠を被ったふうに並んでいると、八尾の女踊りのようにも見えて素敵だ。

   ※

いまは、鈴虫と鷺草だけの風の盆、おわら節。

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以上Twitterのまとめ記事。ついでに当時の残りの句も、

  花 芙 蓉 風 を 哀 し む こ こ ろ か な
  銀 漢 の せ せ ら ぎ 聞 ゆ 八 尾 町
  風 の 盆 八 尾 は 銀 河 中 洲 町
  月 一 つ 我 が 身 も 一 つ 分 水 嶺
  秋 の 夜 の 風 の う ら 弾 く 胡 弓 か な
  
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by r_bunko | 2013-09-03 23:59 | さまざま
玉葱と寝た
昼夜ひっくり返っていたのを何とか直しつつあるが、
体調はぐずぐずぐずついて、今一つよろしくない。
散歩も水汲みもお休み加減。
俳句の句材に困っている。
句材とは世界のディテール、宇宙の詳細だ。
それなら籠もっていても生活の些細はあるだろう、
刻々の俳景に倦怠などは無縁だろう、
方丈これ俳天地、一日これ俳時。
おつむはそう解った風に言うが、
からだとこころとうでがついていけない。

咳に玉葱がいいらしい、とネットで知ったので
一夜枕元に置いて寝た。
効果てきめん、眠りにもすんなり入れるではないか。
一日飛んで、また置いて寝た。
ぐっすり眠って、さて起き上がる際に、軽い目眩の兆し。
口の中や目の周りが玉葱の味で、半日ふらついていた。
鮭茶漬六人分で塩分が一週間抜けなかったよりはましだが、
以前にも玉葱で下痢症状を起こしたことがある。
人間よりは犬猫に近い。
ジゴロも玉葱に弱いのか !?
モンクの「Just A Gigolo」を聴きながら、邪想する。
けれど玉葱は嫌いにならない。食べることは止めないだろう。

目下はマウスが不調。
ロジクール三姉妹がそろって怪しい。
無線LANの周波数帯を変更した方がいいのかな。
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by r_bunko | 2013-06-30 23:23 | さまざま
a karashi 鮭茶漬
啄木忌に安全剃刀であごを傷つけるというヘマをしたが、
今度は電子本作りにヘロヘロになった徹夜明けに、
一袋六人分を振りかけて、じつにしょっぱい鮭茶漬を食った。
用心、用心。
塩分も当分は要らぬだろう。

啄木と剃刀。
砂山の錆びたピストル→錆びたジャックナイフの連想から、
まあ怪我してもやむを得ないか、と妙な得心をしたりする。
啄木に因めば今日は親友土岐善麿の命日。
こちらもNakiwaraiはしようがないか。

  A sabishi a kanashi,—kaku hitori iu,
    Mata hitori iu;
  Koe awase iu.
           —「Nakiwarai」1910.4
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by r_bunko | 2013-04-15 23:51 | さまざま
雪腹
雪腹、という言葉がある。
もう長い間忘れていた言葉だが、
この冬の寒い日に腹を痛めてふっと思い出した。

 ゆき-ばら [雪腹]
 雪が降る前や雪が降っているときに、腹が冷えて痛むこと。                                 —デジタル大辞泉

金沢の犀川べりの古い家でよくそうなった。
  大正家屋は雪腹に苦しみ
  大正家屋はふるえている
当時の詩の一節、さらに
  街が私が大正家屋が雪腹に苦しんでいる
輪島上空5000mで氷点下39度ともあるから、
よほど寒い日だったとみえる。

そんな言葉を思い出させた今冬の寒さも相当なものか。
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by r_bunko | 2013-01-05 21:00 | さまざま
煙草と珈琲
煙草を止めて八年、
同時に珈琲も飲まなくなったが、これはゆっくりと復活した。
口の淋しさに常備常用していたのがガム。
これは春のダウンでぷつりと止めた。
昆布はあれば文房の友となるが、なければないで済む。
二十歳の頃から何かしら口周りにしてきて、
この半年、ついに何も無くても過ごせるのか、
と驚異の日々を続けて来たのに、やっぱり難しいようだ。
禁煙前に使っていたパイポなるものを探し出して咥えている。

断煙は以後の健康には良かったろうが、ちょっと遅すぎた。
それよりも、長年想像思考創作のリズムを担っていたので、
何かにつけて締まらないままの感じで困っている。
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by r_bunko | 2012-12-27 23:52 | さまざま
えーと
「それなら100円ショップで間に合うのじゃないか」
「そうね、買いに行こうかしら」
「いまでなくてもいいだろう」

確かにこんな会話があって、何か買うべきものがあったはず、
100円ショップのあるイオンモールで《それ》が思い出せない。
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by r_bunko | 2012-05-26 23:46 | さまざま



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