桜の書斎
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里山斜面の桜林を見つけてから、
花の間ここを書斎にして通ってみたい、
何を書くかは桜を目の前にして——
そんな夢想をしてみたが、
その頃から坂道で息が続かなくなり、
イノシシの出没も激しくなってきた。

いつからか三つの池の土手に金柵が設けられ、
最寄りの峠道からは行けなくなってしまった。
ぐるりと遊歩道を迂回するしかないが、
その山径にもイノシシの足跡はある。
昼間は出ないと地元の人は言うけれど、
それは人を恐れてのことで本来昼間も活動するらしい。

それで年に一度くらいは勇気を奮って、
iPhoneで音楽を鳴らしながら、
出来るだけ物音を立てて、独り言を呟きながら、
おぉ、ノイバラも咲き出したか、
チーケチーケとあんたらは誰じゃ、
と花木や小鳥に戯れながら、
黄緑色の山繭をしっかり見つけたりしながら、
背高のっぽの桜たちに逢いに来る。

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ここの桜は、とても静か。
風が時折吹くが、たまに一ひら二ひら散るだけ。
病院の桜にはまた別の感慨をもったけれど、
今日は花を観るだけ、花に身を置くだけ。

形ばかり原稿用紙を広げてみたものの、
それで何か書けるわけではない。
ここでレンジャクの小群に会ったこともある。
下の池ではカワセミを見たこともある。

すっくと立って咲き静もった桜の下を、
つ——と真一文字に横切る翡翠色の鳥。
こんな光景をこの地球はもっている。

花曇は途中から、花雨に変わった。
花の孤島にならないうちに山を下りる。
足元で不意にカエルが鳴いた。
  ココロノトコロ コノトコロ
  ココノトコロヲ ココロセヨ
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by r_bunko | 2012-04-14 09:10 | 自然
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詩と、絵と、ジャズと……星と鳥と……漂泊文庫便り
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