懐徳碑—柳田民俗学の入口
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柳田國男「故郷七十年」より

「北条町にいた明治18年のことである。それがおそらく日本における飢饉の最後のものだったろう。私は貧民窟のすぐ近くに住んでいたので、自分で目撃したのであるが、町の有力な商家「余源」をはじめ二,三の家の前にカマドを築いて、食糧のない人々のために焚き出しをやった。人々が土瓶を提げてお粥を貰いに行くのであるから、おそらく米粒もないような重湯であったかと思われる。約一カ月も、それが続いたように憶えているから、よほど大きな飢饉だったのであろう。」

それを記録した「懐徳」という碑が残っている。
148名の篤志家が米穀を提供し、1500戸が救われたと碑文にある。
裏には食糧を差し出したものの名前と地域がずらりと彫り込んである。
この飢饉が柳田少年に与えた影響は大きく、

「その経験が、私を民俗学の研究に導いた一つの動機ともいえるのであって、飢饉を絶滅しなければならないという気持が、私をこの学問にかり立て、かつ農商務省に入らせる動機にもなったのであった。」

柳田民俗学の入口に立つ石碑。
去年の東北大災害ではさまざまな「懐徳」の行いがあったことだろう。
人間と自然の新たな学問もまた生まれてくるに違いない。
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by r_bunko | 2012-02-15 23:56 | 播磨
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